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俺の通う学園は少々、いやかなり特殊な場である。
幼稚舎から大学まである、金持ち私立男子校。
中等部と高等部は全寮制、場所は閉鎖的な山奥。
したがって、同性愛者がなぜだか非常に多い。
そんなここで近頃最も悪目立ちしている人物がいる。
実は俺と同じクラスのそいつは、見た目も凄けりゃ、行動も性格もすごい。
同じクラスながら接点はないが、噂がすごいし、確かに目立つところで騒いでるんだよな。
「…でさ―、って!陸っ!聞いてよ―!」
「はいはい」
顔はいいのに中身が残念な友人をいつものようになだめつつ、肩をすくめた。
今日はなんか頭が痛いんだよな…、寝不足か。
小さく息をもらせば、横から勢いよく名を呼ばれた。
見やると、そこにいたのは同じクラスの……確か、川崎。
可愛らしい顔をしていて、親衛隊までいる奴だ。
残念ながら、名前と顔を覚えるのは究極に苦手なんだよな。
あとでまた他の人にこっそり聞いとこう。
「あのさっ、よ、良ければこれ」
そう言って差し出されたのは、可愛らしい袋。
「…え、」
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