キリリク | ナノ
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千島くんは、笑った。

そう、一番の彼の魅力は笑顔だと、僕はそう強く思う。

今みたいな満足した可愛らしい笑顔、くすりと笑う妖艶な笑顔、穏やかな笑顔、いたずらっ子のような笑顔、言い聞かせるような満面の笑顔・・・。

たくさんの笑顔の表情を持つ彼、彼が笑うたびに振り回される周り。
彼が笑うと、空気まで変わってしまう。


「ありがとう」

丁寧に御礼まで言って、千島くんは軽やかに席に戻っていった。

窓から差し込む光が、彼の少し華奢な背中やきれいな髪を輝かせる。


本当に、綺麗な人だ。


掴めないけれど、それこそが魅力。
ただ綺麗で、揺るがない、不思議な人。
さまざまな人物を、静かにまるで侵食するように、無意識に虜にしていく。


自分の席へ帰るかと思いきや、その隣の藤浦くんににこやかに話しかけた千島くん。

きっと、彼にはクラスメートや廊下から覗いてる人の視線だなんて関係ないんだろうな。


なんだかいつも幸せそうな彼は、当然人気も高い。
親衛隊はかなり穏健派で、別名「笑顔を見守り隊」だから平和なんだろうけど。



これまた可笑しな編入生の藤浦くんの手を引っぱってどこかへ行く千島くんを見ながら、僕は、いや僕らは思う。



あぁ、今日も麗しいなあ千島さま。

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