キリリク | ナノ
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そんな彼は、そんな外見にも霞まないような性格をしている。

別に目立ちたがりとか冷徹とか変とか、そんなんじゃないんだ。
どこがどう個性があるのか、上手く説明なんてできないんだけど。
ただ、不思議だ。無自覚だ。

まず、どことなくおかしい話し方。
いや、別に似合ってらっしゃるからいいんだけど。

それに、どこか卓越しているような、全てを観察しているような・・・。
上手くは言えないんだけど、あまり自分の感情を表に出さない。

あとは、なんか編入生にやたら構ったり、突然素晴らしい笑顔になったり、とにかく俺らはけっこう振り回されます。



「田中くん、」

唐突に後ろから肩をとんとんと叩かれた。

誰にって、それはもう麗しいお方から。
噂したら何とやら、って先人のお言葉はどうやら正しいみたいだ。


「ち、千島君。どうしたの?」

振り向いてやっぱり本人だと確認した途端、頬が熱い。
どうしよう、顔が赤くなってたら、恥ずかしい。


「いや、別にどうということはないのだけれどね。田中くんって図書委員会だよね」

名前を呼ばれた、とか僕の委員会覚えてくれてたんだ、とか。
彼にほんのり恋心を抱いてる僕が、浮かれてしまうのは少しくらい見逃して欲しい。

こてん、と首をかしげる姿は無垢だと感じる。


「う、うん」

どこに目をやればいいのか戸惑いつつも、必死に普通を装って頷く。

質問なのだけれど、と一拍置いて、彼は俺に問いかけた。

「細いフレームの眼鏡をかけた、クールでかっこいい優等生みたいな男子生徒がよく来たりしない?」

「え、」

これは、千島くんの特性のひとつでもある。
高等部からの編入生の千島くんはしばしば、不思議な質問や、やたら詳しい生徒情報を知っているのだ。

だけど、まっすぐに瞳に見つめられると、答えないわけにはいかないわけで。
力になれたらいいな、とか、こっちが間違ってたな、って思わせられるんだ。


「あ、うん。第二図書室には。だけど一般生徒は立ち入り禁止だから・・・」

そう、僕が答えた瞬間だった。

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