キリリク | ナノ
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「せんせぇ―!」
廊下を1人歩いていると、きゃいきゃいと可愛らしく生徒が近づいてくる。
俺に寄って来るのは、やっぱり可愛いチワワみたいな明らかに受け属性の子たちだ。
好きです、付き合ってください、セフレでもいいんです、抱いてください、・・・。
目を潤ませたり、頬を赤くしたり、恥ずかしがったり、誘ってきたり、・・・もう本当に可愛いっ!
萌えに燃えます。
ただ残念なことは、俺ってば童貞なんだよ!
純粋なチェリーボーイなんだよ!
あ、もちろん処女でもあるけど。
だってさぁ、青春時代を王道学園に潜入することに必死になって過ごしたから。
彼女はいたことあるけど、俺はキスが精一杯なへたれでした。
周りは見かけどおり経験豊富だと思ってるらしいけど、潔いくらい裏切ってるから!
ごめんね!
「なにか用か」
あくまでも偉そうな俺様対応。
心の中はトップシークレットですから!
そして俺はプロフェッショナル!
「え、あの・・・」
ほんのりと頬を赤らめる仕草に、思わず鼻の下が伸びかける。
だって、こんな冷たい反応しても喜ぶなんて・・・かわゆすっ!
3人で来たうちの真ん中を、せかすように横2人がつっつく。
「これ、作ったので食べてください!」
目をぎゅっとつぶったその子が差し出したのは、綺麗に包まれた袋。
察するに、手作りお菓子!
乙男で、可愛らしいなぁ。
なんだか嬉しくてほこほこするなぁ。
「・・・おう、」
貰って、その茶色の頭をグリグリと撫でる。
顔を真っ赤にしたその子に、お礼にと笑いかけた。
「ありがとな」
くるりと身を翻す。
貰った包みをもった右手を、挨拶代わりに少し上げた。
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