キリリク | ナノ
3


俺の記憶が正しければ、いや、確実に正しいだろうが。

今までの過去にも接点なんて、ひとつも無いのに。
ほんのこの前まで、全くの赤の他人だったのに。


これは、何なのだろうね。
懐かしく切ない痛み、そして、それを超えるあたたかさと心地よさ。



「・・・不思議な人だねぇ。」

「京も、」

穏やかに笑いあう。


ゆっくりと流れてゆく時、周りにあるのは美しい自然。

どれもこれも、素晴らしいじゃないか。

溶かされてゆく心の境界、まるで異世界かのような穏やかで優しい空間。

どれもこれもが、心地よいと感じるんだ。



煩雑で難解で奇怪な、現代社会と人の心。

俺自身も欲望のために入り込んだ、この学園。


「これは、思わぬ収穫だねぇ」


希少な愛おしいこの時間を、あと少し、陽の光と理央と共にまどろもう。

穏やかに過ぎる、あたたかい昼下がり。


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