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あたたかい、
やわらかく頭を撫でられている感触がする。
心地よいそれに身を委ねながら、俺はゆるゆると思い瞼を上げた。
視界に在ったのは、高く澄む青空と、若緑の木々と、1人。
その人は、初対面の時と寸分違わなかった。
二度目とは思えない懐かしさと、優しい手つきがくすぐったい。
「神崎先輩・・・」
呼びかければ、先輩はゆっくりと首を横に振った。
「・・・りお」
止まらぬ手つきのリズムが、優しげに緩められている口元が、存在があたたかい。
「先輩なのに、いいんですか。」
心地よさに、クスリと笑みを漏らしつつ、見上げて尋ねる。
先輩は、何も言わずに頷いた。
「先輩じゃ、違う。」
なるほど、と思った。
何かしらの親しみを覚えたのは俺だけではなかったようだ。
「じゃあ、理央。久しぶり、だね。」
いまさらな挨拶をする俺に、理央は音を立てずに笑った。
変わらずの綺麗な笑顔に、やはり何故か胸に痛みが刺さる。
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