キリリク | ナノ
3



「で、何してんの。」

まるで尋問のような響きの問いかけ。
俺の繊細なハートもそろそろ限界だ。
・・・うっかり殴ってしまいそう。

かくかくしかじかと説明すると、陽の笑顔が曇った。

「なんでそこで会長なわけ。」


陽曰く、
「京が俺に助けを求めて泣き叫べばいいのに」


ほおら、最近の若い子って怖い!
誰もそんなこと言ってないのに、勝手に脳内で良いように変換しちゃうんだから。
日本語なんて全く通じやしない。

・・・というより、君ってそんな子だったっけねぇ。


「まぁ、京の泣き顔は俺だけが知ってればいっか。・・・ベットの上で。」

あやしく笑って手を伸ばしてくる陽に、このまま拉致されるかと思った。

白昼から堂々とセクハラですか。
世の中は随分と物騒ですね。
おまわりさーん、というより風紀は一体何をしているんだろうね。


「こら、そこ!」

突然あたりに響いた弾劾の声。

その瞬間、俺は安堵で胸をなでおろした。
先生か生徒か風紀か、はたまた宇宙人かは知らないが、とにかく陽を止めてくれるだろう。

むしろ俺の生活の安全の為に、どこか遠い異国へ破棄していただきたいが。


俺は笑顔で振り向いて、



「やんぬるかな・・・」



退路が断たれたことを知った。



「僕の京に手を出すなんて許さないよ。さっさと消えなよ。」

きつい目つきで陽を睨むのは、美しい副会長。
その後ろに見える金髪は、きっとあの変態のものだろう。

退路が断たれたどころではない、まさに地獄絵図。


「京、安心してこっちにおいで」

にこやかに笑う副会長に、第六感が危険を知らせる。
どこまでも綺麗なはずなのに、背景が黒いというか、般若のようというか。
その空気がひしひしと場を蝕むようだ。

どんなに心臓に毛が生えた怪物だろうと、安心なんて無理だろうよ。



嗚呼、助けてくれ!



心の中の俺の叫び。
そして、彼は驚くほど早く助けに訪れた。
かくして俺は九死に一生を得た。
めでたし、めでたし。



・・・なんとも完結にラストを描いてしまって申し訳ない。
味噌の無い味噌汁、短パンの無いショタ、灯油の入ってないストーブのようだ。

本当に申し訳ない。
だけれど、なんだか俺は今日のあれだけで大変疲れてしまった。

まぁ、そうだね。
強引にまとめてしまうならば、そう。



声の大小も遠大な距離もどれほどの障壁も、愛の前では在って無いものだ。



・・・なんてね。



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