キリリク | ナノ
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俺はふふっと笑うと、飲みかけのコーヒーに口をつけた。

「ここのコーヒーは美味しいからね。」

ずっと通い続けていたいくらいさ。
そう簡単に店を潰さないでおくれよ。

続く俺の言葉に、マスターは最高の笑顔になった。

「ありがとう」

うん、感謝の言葉は悪くない。


笑顔のまま友人の席を片付けていく彼に、俺も最高の笑顔を見せる。

「おかわり」


俺の笑顔に一瞬目を見張ったマスターは、頷いて俺にカウンター席を案内する。

嫌いではない、むしろ好きな時間と場所だ。
美味しいコーヒーと和やかな雰囲気。

受験前の俺がこんなことしていて良いものかねぇ。
・・・そう、受験。


「まぁ、次会う時にでも。」

俺が一緒に地元の共学に行くと思っている友人やマスター。

残念ながら俺は、山奥にある私立で偏差値がバカ高い全寮制男子校に行く予定なのだけれど。
長期休暇しか帰ってこれなくなるのだけれど。

さて、打ち明けた時にはどんな顔をするんだろうか。


俺はのんびりと二杯目のコーヒーに手を伸ばした。



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