キリリク | ナノ
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めそめそと目の前で現実を嘆き続ける友人。

だいだい、ひとつ言わせて貰えば。

「惚れるから駄目なんだよ。」
女の子に。


中学3年の冬休み。
けっこう仲の良い部類の友人の恋は、見事玉砕したらしい。

だが俺の心は、同情心や憐れみどころか喜ばしいと感じている。
女の子と恋しようとするからだよ。
男とラブラブすればいい。

そう、俺は立派は腐男子。
中2の夏休みから急速に染まった。
もともと偏見が無かったからね。
まぁ、周りにこの事実を知ってる輩は1人も居ないけれど。


「でも!花ちゃん、めっちゃ脈ありげだったのに・・・!」

・・・花ちゃん。
さぁて、誰だったっけねぇ。
どうにも思い出せない、いや思い出せる気も全くしない。

「隣のクラスの髪が長い子!花ちゃん!」

首をかしげた俺をにらみつつ吠える友人。
涙目のにらみだし、やや上目遣いだけれども。

うーん、なんかねぇ。
70点、いや60点かな。
バカで元気な子受けだろうから、こういう仕草にもっと磨きをかけて欲しいものだ。

しみじみと溜息をつきながら、ゆったりと目の前のカップを口に運んだ。
香ばしい香りと共に、口内に広がる苦い旨み。

「いつ来ても、ここのコーヒーは最高だね。」

まろやかで絶妙。
筆舌しがたい、あきない味。
・・・素晴らしい。


「しかも!花ちゃん、何て言ったと思う!?」

さぁてね。
分からなくとも良いよ。
興味など全くもって無いのだから。

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