キリリク | ナノ
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「じゃがいも!にんじん!お肉!玉ねぎ!こむぎこ!お米!あと、おかし!」

「全部買ったね。よし、帰ろうか。」



買い物客やスーパーの店員から、注目され熱い視線をもらった雅明。
だが、彼の瞳は更夜から離れはしない。

自分にお菓子まで買ってもらった更夜は、行きよりもさらに上機嫌だ。

肉の袋だけを更夜が持ち、他は全て雅明が持つ。
それらを、簡単そうに片手に持ちながら、空いた片手で更夜と手を繋いだ。

そんな男前な姿にも、周囲からは溜息が漏れた。
しかし、2人はさっさと帰り道についてしまったのだった。




「更夜、今日の晩御飯は何だと思う?」

幸せに浸りながら、笑顔で尋ねる。

「シチューだよ!」

あっさりと、自信ありげに答えられた。

なるほど、シチューもありだな。
更夜は観察眼も鋭いのか。
しかし、それならビーフシチューもハヤシライスもありだろう。
しかも今の季節は夏の1歩手前だ。
シチューは可能性として低いのではないか。

更夜バカな雅明は、でれでれしつつ尋ねる。

「なんでシチューだって思うの?」



更夜はくすくすと笑った後で、肩をすくめた。

「昨日ね、おかあさんが『夏にシチューって不思議よね〜』ってたくさん言ってた!」


あぁ、姉さん。
確かに不思議ですね。

即断即決というか、行動が早いというか、何かずれてるというか。
天然でもある姉に、少し頭痛がした。


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