キリリク | ナノ
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そして今、雅明と更夜は手を繋いで歩いている。
お散歩がてらの、お使いだ。


「今日はねぇ、じゃがいもとにんじんとお肉と玉ねぎと・・・」

「あと、お米と小麦粉だね。」

「そう、それ!」


肉じゃがなのか、カレーなのか。
そして、米と小麦粉は弟をこき使おうという姉の企みなのか。

とにかく、更夜と一緒に買い物と言うだけで雅明は幸せだった。
それは更夜も同じようで、始終にこにこと話したり、鼻歌を歌ったりしている。


しかも、雅明はかなり裕福な生活をしている。
住宅街を歩き、しかもスーパーに買い物、と言うことは非常に貴重な経験だった。



「学校はどうだい?」

温かく小さい手に和みつつ、尋ねる。

「たのし―よ!」

見上げてきた更夜は、にっこりとまた笑った。


「あのね、あさがお育ててるの。僕の、もうすぐ咲きそうだよ!青いつぼみ!」

そうかそうか、と微笑みながら歩く。
しかし、次の一言でその笑顔は凍った。


「だけどね、ようくんがイジワルなんだ!『おれのより先に咲いたらダメ』って、僕のあさがおにテープをつけようとする!」

何だと・・・?
見たこともない、『ようくん』に殺意と嫉妬がわく。

可愛い更夜に意地悪・・・
しかも、何だその俺様的思考は。


行って懲らしめてやろうかと、本気で考えた馬鹿な大人だった。

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