キリリク | ナノ
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「今日はいつまで居るの?」
小学校に上ったばかりの更夜は、6歳にしては賢く快活だ。
溺愛しているという贔屓目を抜きにしても、とても出来た子だと思う。
勉強は嫌がるが、頭の回転が速く飲み込みは早い。
運動も出来て、動き回ることが好きだ。
社交的な性格で、陰険な部分もない。
極め付けは、外見だろう。
色素が薄いため、抜けるような白い肌とサラサラのこげ茶の髪。
大きな瞳はとても綺麗で、濃くまつげに縁取られている。
あぁ、可愛い。
「いつまで居てほしい?」
尋ねれば、満面の笑みで更夜は答えた。
「ずーっと居ていいよ!僕のお部屋を分けてあげる!」
なんとも可愛らしい答えに、雅明はにやつく顔を抑えつつ、理性を必死で保った。
可愛すぎる!
もうこのまま持ち帰りたい。
学校を経営するやり手で、かなりの美形でもある雅明。
完璧ともいえる、出来た大人だ。
それの唯一の悩みは、甥っ子が世界で一番愛おしいことだった。
自分よりもずっと小さい子供であるのに、だ。
愛情か恋愛感情か、きわどい所だが、1歩間違えば犯罪。
せめて大きくなるまでは、ゆっくりと成長を見守ろうと。
その代わり、たくさん会いに来ようと。
毎日が多忙なはずの雅明は、それでも一週間に一度は如月家を訪れるのだった。
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