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顔を離すと、透は少し驚いた顔をする。
「もっとビックリすると思ったのにな。」
「・・・え?十分、驚きだけど・・・。・・・?」
驚いて、混乱しすぎてるみたいです。
誰か、幼稚園生でも分かるレベルで俺に説明をしてくれ。
「な、んで?」
強張る舌で、なんとかそれだけを口にする。
すると、透は悲しそうな顔で下を向いた。
「ごめんね。そんなに、嫌だったなんて・・・。」
傷つけたみたいで、少し慌てる。
「や!大丈夫って。別に、嫌ってわけじゃ・・」
ない、そう言おうとしたところで、言葉を止める。
透は顔をあげて、にっこりと笑っていた。
「そう?良かった。」
んー・・・。いまいち理解できねぇ。
さっきのキスは・・・?
「・・・じゃあ、続きもしようかな。」
ぼそりと、小さく透が呟く。
聞きなおそうとした俺の頬に、透が手を添えて。
また顔が近づこうとして。
反対の手が、別なほうへ動いたところで。
「副会長!!」
バンッ、と扉が開いた。
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