千変万化 | ナノ
あざ笑うボクに
ああ、いいざま。
太陽さまはボクのものなのに、太陽さまはみんなものなのに。
勝手に、自分のものにしようとするから。
あんな出来損ないが、太陽さまの愛を貰おうとするから。
馬鹿じゃないの、馬鹿じゃないの、馬っ鹿じゃないの。
太陽さまの光に甘えて、受け止めるばっかりで、最低だよ。
おまえなんて、とっとと消えてしまえ。
あの異端者の地球と、おまえだけを愛してくれるあの残酷な地球と、ずっと一緒にいればいい。
思い知ったよね、太陽さまと自分の距離を。
太陽さまは、一番にボクを愛してくれているんだって。
だってボクが一番、彼の近くにいられるんだものね。
太陽さまだって、おまえのことを全部は理解していない。
おまえの全てを照らせないんだよ、馬鹿な月め。
ふふ、いいざま。
太陽さまがボクを激しく抱くさまに、おまえは愕然とした顔をしていた。
感情の乏しいおまえが、愛に疎いオマエが。
太陽さまを愛そうとするから、ボクが罰をくだしてやったんだ。
あははは、本当にいいざまだよね。
だけどそれは、もしかしたら、いやもしかしなくても。
同時にボクを抉り、彼を抉り、ボクを危険にさらす行為。
ぐしゃりと何かが潰される音がした。
それはどうやら、ボクの右手のようだった。
あはは、いいざま。
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