極彩色ヒーローズ | ナノ
1
青い空、白い雲。
まぶしい太陽と、元気な蝉の大合唱。
その中を、俺は走る。
炎天下の全力疾走。
汗だらだら。無風でジリジリと痛い暑さに、体が悲鳴をあげてる。
正直言うと、日陰に行きたい。
クーラーの効いたコンビニに駆け込みたい。
冷たいアイスとだらけたい。
だけど。
―世界を守れ!―
夏休みってのは、天国であり地獄だ。
学校から解放される一方で、課題と部活に追われる。
進学校の奴らは、夏課外に追われ、その休みさえ無いらしい。
そういうわけで、学校には部活動生のかけ声が響いている。
野球部もバスケ部も、どの部活動も頑張ってるな―!
俺、頑張ってる奴は大好きだ!
そして俺は今、めっちゃ頑張って走ってる!
いいぞ、俺!
大好きだ!
でも何で走ってるのか。
理由は単純明快。
俺はヒーローだから。
「先生―っ!」
ばんっと勢いよく職員室の扉を開け放つ。
中からひんやりとした冷気が逃げでた。
「失礼します!」
ぺこりと礼をしてから、刺さる視線の中、踏み入れた。
俺の目標はただ1人っ。
「あぁ、レッドか」
「久しぶり」
「こんにちは」
「相変わらずね!」
だけど無視はだめだ!
だって傷つくだろ?
「こんにちわ―!」
だからまとめて返事した。
声を親しげにかけてくれるのは、すっげぇ嬉しい。
だからみんなに笑顔でピースしながら、周りを見渡した。
お、目標発見っ!
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