極彩色ヒーローズ | ナノ
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元気な声と足音と共に、待ちわびた奴が登場した。
ついでに、すっげぇ極悪面のブラックも。

楽しそうに一人一人に声をかけるレッドは、ようやく俺の方に向かってくる。
立ち上がった俺は、本当の笑顔でにっこりと笑った。


「会いたかった―」

冗談めいた声と共に思わず抱きつくと、「俺も!」と元気な返事。

本当にあたたかい。
ただ体温のせいじゃなく、こいつの存在自体が熱源だと思う。


「じゃあ行こうか。もうすぐだよ。」

グリーンの言葉にぞろぞろと歩く俺ら。
向かう先も待つものも、すぐ先だ。

5分足らずで着いたそこは、この小さな山の中腹あたり。
何故か周りの木もまばらで見晴らしが良い場所。
下にある祭りや住む街が、よく見える場所。

しばらく、あれが学校じゃないかとか指さしてた俺らは、空へ顔を向けた。


ドォンという音よりも早く、大きく咲き誇った光り輝く大輪。
キレイだ、と素直に思えた。
…うん、悪くない。



汚いガラクタの世界には価値なんてなかった。
つまらなさすぎる世界に閉じ込められて、窒息しそうになりながら生きていた。

だけど高校生になって、いや、勇斗に会って、俺の世界は変わったんだ。
バカみたいな滑稽劇だった俺の世界を壊して、笑いかけてくれた。

あの笑顔に救われて、あの笑顔の虜になった。


世界は捨てたもんじゃない。
キレイなものもあるし、愛しいものもある。

ただ、見えてなかっただけ。
周りを覆われて、カラに閉じこもってただけ。

それなら簡単、そんなもの消せばいい。
枠だとかカラだとか檻だとか、そんなもの壊してしまえ。


周りをぶち壊して、キレイに咲く花火に思う。




世界を壊せ、イエロー!



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