極彩色ヒーローズ | ナノ
2



「たっちょん先生っ!」

呼びかけながら、奥まった机にうつぶせる三十路の男に近寄る。

たっちょん先生こと、小野寺辰巳(オノデラ タツミ)。
怠け者だけど、いい人だ。
現代社会の先生で、俺らの担当さん。

担任、じゃない。
担当さん。


「あ…?…レッドか。」

目を細めて、ボリボリと頭をかく。
完璧オヤジな動作だけど、顔はかっこいいから変に様になる。
羨ましい!

「レッド、書類を持ってきました!」

元気に言って、ぺろんと紙を突き出す。
たっちょん先生は、まだ眠そうにしながらも目を通してくれる。

その間の俺は、なんだかドキドキしてた。
どうしよう、そわそわして落ち着けない。


「…ん。良いよ。」

俺らの企画にOKをくれた先生は、ポンと捺印をおしてくれた。

「よっしゃ!」

思わずガッツポーズをした俺に、周りの先生から拍手と笑いがプレゼントされた。
だって、嬉しいんだもん。


「ありがと、先生。大好き!」

にっこり笑って、頭を下げる。
ヒーローは礼儀正しくないとな!


そのまま帰るつもりだったけど、誘われて涼しい職員室で少し休憩する事にした。

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