∞主義 | ナノ

3


すっかり忘れてた。
そういえば、ここへ来た理由はそれで、だからこそ俺は警戒してたんだ。

おいしいココアにいつの間にか懐柔されられかけてた。
しっかりしろ、更夜。


「別に何も」

目の前の机にマグカップを置いて、会長の漆黒の瞳を見据える。

何故か会長は一瞬驚いて、それから目を細めた。


切なく苦しげで、だけども甘く懐かしみ愛おしむ瞳だった。

これは、恋い焦がれている瞳だ。


俺を通して、誰を見ているのか。
どうでもいいけど、なんかムカつくな。


「どうせ御琴が文句でも言ってきたんだろうが。」

分かってるなら聞くな。
笑いながら言うな。

本当にムカつく。


「あいつには言っておくから。…悪かったな。」

寂しそうに言うな。
申し訳なそうに謝るな。
…って、えぇ!?


「なんで謝っちゃってんの!?ってか、えぇ?本当に会長?は?」

唯我独尊な俺様じゃなかったっけ!?



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