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俺、悪いことなんてしてねぇぞ。
目で訴えてみるけど、伝わるわけないよな。
残念だけど、テレパシーなんて使えねぇから。
「とりあえず、御琴は帰れ。邪魔だ。」
うわ。
相変わらずの俺様口調。
そして俺だけ残すのか。
なんだそれ、ミコトとかいう仲良しチワワの復讐かよ。
俺が心の中で愚痴っている間に、チワワは素直に帰って行った。
幸せそうな笑顔と照れているような仕草は、確かに素直で可愛らしい。
さっきと同一人物だなんて、信じらんねぇよ。
人間は奥が深いな。
「ちょっと待ってろ。」
しみじみと考える俺にそう言うと、会長は書類を手に理事長室へ入っていった。
あぁ、待ちたくないな。
説教とか大嫌いだし、なんかうっかり殴ってしまいそう。
ちょっとの用事は本当にちょっとだった。
出てきた会長に連れられて、俺は生徒会室に向かってる。
2度目の生徒会室。
あの時は健もいだけど、今回は1人だ。
幸せを吐き出さないように溜め息を殺しつつ、俺は豪華な扉を見上げた。
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