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声だけで分かるほどの、弾んだ嬉しそうな声が響いた。
もちろん、俺じゃないからな!
まぁ、あいつは会長の親衛隊だ。
会長が好きなんだろう。
ここでの異常な常識からすると、尊敬ではなく恋愛感情でだ。
もしかすると、2人は付き合ってるかもしれない。
個人の自由だから、俺なんかが口ははさめないけど。
はさみたくも無いけど。
しかし、ということは、まずいんじゃないか。
確かに、この俺の状況は、非常に、ひっじょーに、まずい。
前後を敵にはさまれてる…!
くそ、腹がへったってのに!
心の中で俺は盛大な舌打ちをした。
「なにしてるんだ」
疑問というよりは尋問に近い響きを感じる。
どこまで偉そうな会長なんだ。
「如月くんが、僕の嫌なことばかりしてきて…。止めてって言っても…。ぼ、僕…。」
呆れて後ろを見ると、くりくりなおめめをウルウルさせた、上目づかいの奴がいた。
確かに可愛いけど、ぞわっとした。
っていうか、反論は出来ないぞ。
ヤバい、更にピンチだ。
確かに相手の良いように話されたけど、嘘はなかった。
ヤバい、どうしよう。
内心焦る俺と、変わらない強い漆黒の瞳がばっちりあった。
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