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なんか事故でもあったのか?
そう思って周りを見渡そうとした時だった。
「お疲れちゃ―ん」
それはそれは綺麗な美声の二重奏が辺りに響いた。
あぁ、もしかして多々良ズに周りは騒いでたのか。
「お疲れ様っ」
とにかく、さっきまでの好敵手に、にっこりと笑いかける。
本当にいい試合で、凄く楽しかったしな―。
その感謝と愛情を込めた、心からの笑顔だ。
「…っ」
途端に同時に口当たりを抑える多々良ズと、また騒ぐ外野。
隣の透は少し不機嫌そうに多々良ズとかを見てるし。
…さすがに今のは何が原因か不明だな。
まぁ、いいや。
それよりも、試合のお礼を言わなきゃな。
「本当にありがとう。めっちゃ楽しかった!」
「こちらこそ―」
「更夜が上手すぎてびっくりだし―」
素早く復活した多々良ズは、そう言って笑う。
「動くの大好き。速さと的確な命中力が取り柄なもんで。」
にっと笑うと、「何の話だ」と突っ込まれた。
何って、もちろん喧嘩の話だ。
…言わずに誤魔化して笑っといたけど。
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