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スリーポイントのところで、ジャンプしながらボールを放した。
まっすぐ弧を描きつつ、速めのスピードで進むボール。
時の流れが、遅くなった気がした。
入ってくれ。
願う俺の前で、ボールはすっぱりとリングに入ってくれた。
一気に力が抜けて、へたり込みそうになった。
抱きついてくるチームメイトのせいで座れなかったけど、それはそれで楽しいからいい。
あぁ、周りがうるせぇな。
ようやく視界に入ったギャラリーは、なんだか熱気に包まれてうごめいて感じる。
そこを見渡すと、明らかに場違いな、よく見知った顔がいた。
驚くと共に、嬉しさがこみ上げてくる。
最高の笑顔でピースした俺に、向こう側の透も手を振ってくれた。
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