∞主義 | ナノ

君に会うためなら


「うるさい・・・」

バスケの白熱した試合と、歓声をあげ続けるギャラリー。
歩く僕を眺める視線と、黄色い悲鳴や野太い声。

全てが神経を逆撫でする。

それでも表情に嫌悪を表したりはしない。
面倒だからね。


本当ならこんなところには絶対来ない。

自分のサッカーの試合が終わったばっかりで疲れてるし、イライラするだけ。


だけどね。


「あ―、あれかな。」
誰にも聞こえないように小さく呟く。

4コートあるうちの、最も騒がしいところ。
上のギャラリーも満杯で、食い入るように見つめている。

“2C vs 3H”の試合


周りのあんな奴等の目に晒されていると思うと、嫌でたまらない。


だけど、会いに行くよ、今すぐに。



更夜



そう名を呟くだけで、心がふっと楽になった。

彼は、彼だけは明らかに特別だ。


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