∞主義 | ナノ
二件落着
「会長が言うなら仕方ないねぇ。」
笹生さんが、クスクスと笑う。
「分かりました。処罰の内容は追って連絡します。今日はもう結構です。」
顔色ひとつ変えない葉山さんは、そう言って俺達を追い出した。
部屋を出る時には、透だけじゃなくて笹生さんと多々良ズも手を振ってくれた。
いい気分の俺は、満面の笑みで振り返しながら橘と部屋を出た。
・・・衝撃的事実。
さっきの人たち、全員タメと先輩じゃねぇか。
左胸にある苗字の刺繍は学年ごとに色が違う。
紺色のブレザーに1年は白、2年は水色、3年はオレンジの刺繍。
葉山さんは水色で、他は全員オレンジだった。
笹生先輩とか、どっからどうみても同年代も年下なんだけど・・・。
それより葉山さんが同い年ってのがショックだ。
発育良すぎ。
雰囲気も落ち着きすぎ。
・・・ちっちゃいことは気にすんな。
「おい。如月。」
頭の中でどうでもいいことを止めどなく考えてた俺は、橘の声で現実世界に戻された。
俺の正面で立ち止まった橘に合わせ、俺も足を止める。
「何考えてやがる。先に手を出したのは俺だ。」
あぁ、そのことか。
言い切る強い言い方をしながらも、橘の目は考え込んでいるようなものだった。
もしかして部屋を出たときから、ずっと考え込んでたんだろうか。
「別に何も考えてねぇよ。」
こいつは俺と一緒で水色だ。
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