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少し緊張感のある部屋で、軽く挙手して発言する。
「自分も処罰は受けますよ。」
すると、全員の視線が俺に集まった。
「何で?」
困惑顔の透がたずねてくる。
「喧嘩を売ったのは自分なので。」
…違うけど。
さっき葉山先輩が言った通り、橘が先に手を出したんだけど。
「え、そうなのー?」
「目撃情報あったのにー。」
語尾を伸ばす独特な話し方の多々良ズが、こてんと首を横に倒す。
ここまで一緒だと、むしろ恐怖を感じる。
「多分、嘘教えられたんですよ。」
さらりと答える。
心の中でその報告者に軽く謝っておいた。
「…よっておまえは橘と処罰を受けたいと。」
会長の確認に頷く。
少し沈黙した後で、会長は笑った。
「馬鹿か、おまえ。」
ムッとして軽く睨むと、さらに笑った。
馬鹿にした笑いじゃなくて、本当に楽しそうな笑い。
「好きにしろ。」
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