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「俺を待たせるのか。」
その声に、透が顔を歪めて振り返る。
「・・邪魔。」
小さく言うと、また俺を見て笑って言った。
「じゃぁね、更夜。」
一瞬見えた黒いオーラは、一体なんだったんだ。
頭に疑問符を浮かべながらも、俺は透に手を振った。
透を呼んだのは、黒髪の超絶美形の男だった。
短くはないけど、肩につかない髪。
長身で、いかにも引き締まった体。
動きにも無駄が無くて、自信とか威厳を感じた。
「あ―・・・。康一?」
小さい声で康一に尋ねる。
「あの人、生徒会長?」
周りには一定の距離が置かれている。
皆がチラチラと視線を送っている。
それに、何の反応も示さず、つまらなそうに立つ姿は、王者と呼ぶにふさわしい感じだ。
「あ、そうそう。よく知ってるな?」
やっぱり。
にしても、偉そうな奴だな。
命令形で会話するような奴っぽい。
「会話は言葉のキャッチボールだよな。」
壱流に言うと、首を傾げられた。
ちっ。
今ボールが届かなかった感触だ。
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