∞主義 | ナノ

3


「俺を待たせるのか。」

その声に、透が顔を歪めて振り返る。

「・・邪魔。」

小さく言うと、また俺を見て笑って言った。

「じゃぁね、更夜。」

一瞬見えた黒いオーラは、一体なんだったんだ。

頭に疑問符を浮かべながらも、俺は透に手を振った。


透を呼んだのは、黒髪の超絶美形の男だった。

短くはないけど、肩につかない髪。

長身で、いかにも引き締まった体。

動きにも無駄が無くて、自信とか威厳を感じた。


「あ―・・・。康一?」

小さい声で康一に尋ねる。

「あの人、生徒会長?」


周りには一定の距離が置かれている。

皆がチラチラと視線を送っている。

それに、何の反応も示さず、つまらなそうに立つ姿は、王者と呼ぶにふさわしい感じだ。


「あ、そうそう。よく知ってるな?」

やっぱり。

にしても、偉そうな奴だな。

命令形で会話するような奴っぽい。


「会話は言葉のキャッチボールだよな。」

壱流に言うと、首を傾げられた。


ちっ。
今ボールが届かなかった感触だ。


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