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米もちょうどいい硬さで、野菜も新鮮。
明日は何を食べようかな。
この調子だと、どれもうまそうだ。
「おいしい?」
突然、優しい仕草で俺の首に腕が巻きついた。
ふぅ、と言葉と共に吐息が耳にかかる。
くすぐったいし、殴ろうかとも思ったけど、止めておいた。
理由は2つ。
唐揚げがあまりにもおいしかったこと。
もう1つは、その声に聞き覚えがあったこと。
首を回すと、至近距離に透の微笑んだ顔があった。
思ったとおり。
「超、うまい。食う?」
にっこり、と最高の笑みを浮かべる。
透は、すこし沈黙したあとで艶やかに笑った。
「じゃあ、食べさせて。」
何を言うかと思えば。
「何それ。」
「お箸、持ってないんだもの。」
俺の言葉に透は素早く反論する。
あぁ、確かに。
素手で食べるのは嫌だもんな。
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