∞主義 | ナノ
ご対面
扉に向き直った先生は、ガラリと横に開く。
途端に、教室の、人の集まるところ特有のざわつきが耳に入る。
「静かにー」
パンパン、と手を叩きながら入る先生の後に続く。
すると、教室はいきなりシン、と静まり返った。
・・・沈黙が気まずくてうぜぇ。
こっちに注目しすぎだろ。
心の中で悪態をつきながらも、顔をしっかりと上げる。
下向いてると暗く見えるし、テンションも下がる。
それに、この学校で下を見ても、全然汚れなんて無くてつまんねぇし。
「おはようございます。」
教壇に立った先生が頭を下げると、生徒もそれに応えた。
「はようございま―す。」
うん、男子校だな。
最初の“お”がほとんど聞こえねぇ。
「見て分かるとおり、編入生です。」
単刀直入に俺を紹介すると、先生は俺を振り向いた。
その視線に軽く頷くと、生徒の方を振り返る。
「おはようございます。如月更夜です。これから、よろしくお願いします。」
無表情で言い切って、ぺこりと頭を下げる。
迫田先生を見ると、苦笑いしてた。
「それだけでいいの?もっとアピールしてもいいよ」
「結構です。」
クラスの全員に見られてる今の状況は、うざったい。
一刻も早く立ち去りたい気分だ。
きっぱりと断ると、先生は肩をすくめた。
「更夜くんは一番後ろの窓側から2つ目の席ね」
先生が指差した方を見ると、一番後ろの列には2つしか席が無かった。
隣のヤツは欠席なのか知らないけど、不在だ。
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