∞主義 | ナノ
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そして現在、俺と先生はC組に向かって廊下を歩いてる。
少しここで学園の仕組みを説明しとく。
学園には、5つの棟と、2つの寮、図書館、体育館、ホール、店、食堂がある。
部室と練習場は説明しだすとキリがないんで、抜いとくけど。
どれもビックサイズで、5つの棟は理科棟、家庭科棟、普通教室棟、管理棟に分かれる。
俺たちがいるのは、普通教室棟。
教室に向かってるんだし、当然だよな。
普通教室棟は2棟。
3年生がいるB棟と、2年生がいるA棟。
1年は半分こされて、それぞれの棟の1階に収まってる。
「教室の窓から編入生見えると、ちょっと興ざめじゃない?」っていう迫田先生の意見で、俺たちはA組のほうからC組に向かってる。
A組、B組、C組、D組って順に、A棟の2階に並んでるから。
・・・で、A・Bの奴等が、露骨にこっちをジロジロ見てくるわけだ。
人を観察して何がおもしろいんだか、さっぱりだ。
それにしても金持ちってのは、礼儀ねぇのか。
うざい、って言葉、知らねぇのか。
「準備、出来てる?」
足を止めて、迫田先生がこちらを覗き込む。
扉の向こうの喧騒も、さすが金持ち学校は防音までバッチリらしくほとんど聞こえない。
静かな廊下で、俺はこくりと頷いた。
「そんな凄い挨拶なんてしませんよ。」
当たり障りの無い自己紹介を、あっさりとさせてもらおう。
「よし、じゃあ頑張りましょう」
お互いを励ますように笑って、先生はC組の扉に手をかけた。
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