∞主義 | ナノ
5
「大丈夫?」
「え?あ、あぁ。」
つい、思考の海につかってしまってた。
別に雅明さんが悪いわけじゃねぇし、心配させるのは良くないよな。
「大丈夫だって。今は黒髪だから、あんま目立たないし。」
見事に真っ黒に染まっている、自分の髪を一房持ち上げる。
それに、と安心させるようににっこり笑う。
「俺、喧嘩好きだし。負けねぇよ。」
相手が筋肉マッチョでも、安全な競技ばっかやってる奴等には負けない。
喧嘩の腕には、かなり自信ある。
「・・・何かあったら、すぐに言ってね。」
雅明さんの顔から、心配の色が全て消えたわけではないけど。
まぁ、いいか。
なんとかなるだろ。
「はい」
立ち上がった雅明さんが俺に渡したのは、1枚の黒いカードだった。
・・・ブラックカード?
「僕の部屋のスペアキー。いつでも遊びに来てね。」
あ、そういえば透から貰ったヤツにそっくりだな。
「おっけー。」
しっかりと頷くと、雅明さんはにっこりと笑った。
そのまま何も言わずに抱きしめられる。
「頑張ってね。」
優しく呟いて、俺を解放すると雅明さんは笑って告げた。
「隣の部屋に、担任の先生を待たせてあるから。早く行ってあげてね。」
・・・・先生、待たせてごめんなさい。
部屋から出るときに手を振ると、雅明さんも笑って大きく振り替えしてくれた。
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