∞主義 | ナノ
2
「一条学園へようこそ。」
向かい側の机に座ると、雅明さんはにこりと笑う。
指を組んで座るその姿は、さっきまでと別人だ。
いきなり、かっこいいデキル男に変身。
「理事長、水沢雅明です。・・・っていう堅苦しいのは無しにして。」
そこで、言葉を切ると、雅明さんは笑った。
にこり、の作ったヤツじゃなくて、にっこりと嬉しそうに。
「いらっしゃい、更夜。来てくれて嬉しいよ。」
我が叔父ながら、本当にかっこいいな。
「ありがとう」
思わずこっちも笑顔になった。
「学校についての説明は、このパンフレット見てね。校内の地図付きだから。」
はい、と渡されたのは、やたら上等なパンフ。
金かけてんなぁ。
「寮に入ってもらうんだけど、2人部屋だから。同室の子と仲良くね。」
「はーい。」
初めての寮生活。
楽しみなような、面倒なような。
「クラスはA組からH組まで。更夜はC組だよ。担任の先生を呼んでるから、案内してもらえるよ。」
「ん。ありがと。」
てきぱきとした説明に、コクコクと素直に頷いておく。
「・・・・食べちゃいたい。」
笑顔のまま、雅明さんが小さく何かを呟いた。
「何?」
「んー。」
聞き取れなかったから聞き返したら、誤魔化された。
「あぁ、更夜は綺麗過ぎるから、一つ忠告しようかな。」
- 26 -
[*前] | [次#]
back