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声は謎だけど、とりあえず進んでみる。
止まってたって時間を無駄にするだけだ。
俺が敷地に足を踏み入れたとたん、横から若い男の人が現れた。
茶色の髪で、背は高い。
優しそうな微笑を浮かべていて、とにかく美形だった。
「一条学園へようこそ、如月更夜様。」
そう言って、男の人はすっと頭を下げる。
なんてゆうか・・・凄い丁寧な人だな。
俺、こういう扱い慣れてないんだけど。
「守衛の田崎聡介(タザキ ソウスケ)です。よろしく御願いいたします。」
守衛さんが、こんな美形なのかよ!?
「如月更夜です。こちらこそよろしくお願いします。」
心の中で突っ込みながら、こちらも挨拶を返す。
下げた頭を上げると、相手はすごく驚いた顔をしていた。
どこに驚く要素があったのかと、思わず首をかしげる。
「いえ・・・私はあくまで使用人ですので・・・。」
礼や挨拶などは不要です、とまた始めと同じように笑った。
「は?」
思わず、ポロリと声が漏れた。
何言ってんだ、この人。
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