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「更ちゃんっ!タクシーさん、来ちゃった!」
階下から母さんの声が響く。
「ん―。行くか。」
出る際に振り返った自分の部屋は、どこかよそよそしい。
真ん中に重ねられてる荷物のダンボールと、小物が少ないせいだろうな。
携帯と財布だけが軽い入った鞄を掛けなおす。
そのまま部屋を出た。
馴染んだ街から、遠く離れた見知らぬ学園には俺は行く。
だけど、悲しいことではないと思う。
距離如きでバラバラになるような、そんな仲間はいらないし。
そんな奴等じゃないって、俺は知ってる。
それに、あんま待たせると、運転手さん可哀想じゃん。
でも結局、母さん達が別れを惜しみすぎて、運転手さんにはかなり待ってもらいました。
職務、お疲れ様で―す。
ってか、母さんも父さんも涙ぐんでたし。
「着いたら即連絡しろ」とか「毎日メールしろ」とか、何回も言うし。
いいかげん、子離れしろよ。
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