美人な子には旅を
「はぁ・・・」
今朝で何度目かの溜息をつく。
今日、俺は学園のほうに引っ越す。
山の上にあって、街には休日しか行けない。
幼稚園から大学までエスカレーターな進学校。
そして、男しかいない。
「・・・めんどくせぇ。」
女の子いないなんて。
むさ苦しい・・・。
俺、一週間内に窒息死する自信あるんだけど。
鏡を見ると、数日前とはガラリと違う俺がいた。
明るい金色だった髪が、漆黒になっている。
ちょっと不良っぽかったからね。
喧嘩とか大好きだし。
でも、円滑な学園生活のために、最初くらいイイ子でいこうと思って。
うん、いい子っぽい。
平々凡々って感じ。
ちょっと地味めだけど。
ま、いっか。
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