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「こらこら、桃花(モモカ)。更夜が困ってるよ」
優しく俺を救った声の主は、俺の父さん。
いきなり家族が全員集合だ。
息子の俺が言うのも何だけど、2人はすんごい美形。
父さんは長身で、爽やかにかっこいい。
母さんは小柄で、目がクリクリしてて可愛い。
「自慢の両親ね」とか、近所のオバサンに言われる。
だけどさ―・・・。
身内が美形って、比較されるし、面倒だぜ?
俺はどっちにも似てないし。
父さんに似たかったけど、あんな男前にはなれそうにない。
俺は中性的な感じ。
・・・母さんにそっくりじゃないだけましか。
「はぁい。」
母さんは、可愛らしく返事をして、ペロリと舌を出す。
そして抱きしめていた俺を少し離し、にっこりと笑った。
「あのね、準備してほしいの。」
「・・・何の?」
「転校。」
・・・!?
さらりと言ったよ、この人!
なんで、5月。せめて4月に言ってくれ。
2年生になったばっかなんだけど。
「・・・・マジ?」
「うん。転校・・・っていうより、1人暮らし!」
「は!?」
いきなり何、その急展開!
説明不足で分かんないんだけどっ。
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