∞主義 | ナノ

4

きょとんとした久賀先輩は、再びつかみどころ無くへらりと笑う。

「オトモダチには、なってくれへんの?」

横の透が顔をしかめているのは、目に入らなかったことにしとく。
久賀先輩の、どこか揶揄するような口調と相変わらず気味悪い笑顔も、気づかなかったことにしとく。

にっと笑って、申し訳ないですけど、と切り出した。

「俺は、心から友達になってくれる人しかいらないんで」

予想外の言葉と拒絶だったのか、2人は目を見張る。
だけどさ、わがままかもしれねぇけど、そう思うんだ。

卒業したり、離れたり、大人になっても、ずっと一緒にいられるような。
信頼しあえて、助け合えて、さらけ出せる、共にいて居心地が良いような。

理想高いし、ガキっぽいかもしれねぇけど、少なくとも俺は本気でそう思ってる。


「せやったら、俺が心から友達になるんやったら握手してくれるん?」

「少しでもそう思ってくれるなら喜んで」

にっこりと笑えば、まだ動きがぎこちない2人が身じろぎをする。

そこでいきなり訪れた沈黙に、いい加減飯食いてぇなあ、と思いを馳せる。

なに食おうか、うん、やっぱ肉だな。俺は断然、魚より野菜より肉派だしさ。
肉と甘いものさえあれば、他の食材いらねぇかも。
精神的にはそれで十分。
あ、デザートはチョコ系がいいな。

「・・・せやな、」

ぽつりと響いた言葉に、思考を切り替える。
思わず下がっていた目を向ければ、久賀先輩はにっこりと笑ってくれた。


「あんたやったら、それもええかもしれへんわ。・・・努力する」

その言葉と、ようやく本当に笑ってくれたことが、たまらなく嬉しい。

「よろしく!」

- 106 -


[*前] | [次#]



back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -