∞主義 | ナノ

3


「・・・煩すぎやしませんか、透サン」

心底うんざりした顔で隣の透に訴えると、少し困り顔なものの、いつものように微笑んでいた。

「よく分かるよ、その気持ち」

にしては、よく笑顔のままでいられるもんだ。
副会長って役柄なのか、すごいなと感心する俺の前で、透は続けてにっこりと笑った。


「本当に消えて欲しいよね」


・・・ここまで本心をさらけ出されると、何も言えないよな。

初めから分かって覚悟はしてたけど、その腹黒さに思わず顔が引きつった。


だけど本当にさ、いい加減にしろって怒鳴りたくなる。
俺の優雅な、いや優雅じゃなくても良いから平和な食事の時間を返せ。


食堂に響いてるのは、甲高い男とは思えない悲鳴や男らしい歓声。

2階に透がいると知った途端、これだ。
うるさくって敵わない。

きゃあああ、白石様ぁああ、だなんて叫んでる連中に教えてやりたいよ。

お前らの前じゃ、歓声に応えるかのように微笑んでた透の本心をさ。


「・・・食べられない・・・。」

気にしなければ良い話だって分かってる。
分かってるんだけど、ここまで酷いと無理だと思う。

人間の逃避能力にだって限界があるし、集中だって出来やしない。

ここの料理は美味いはずなのに、味が感じられない・・・。
ちょっぴり悲しさに挫けそうになった。


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