∞主義 | ナノ

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こちらを見ていた2人は、同じように目を丸くしてから笑い出した。

腹を押さえてけっこう豪快に笑う姿もかっこいい会長。
オーラがあるんだよな。
カリスマ、とでも言うべきオーラだ。
・・・羨ましい限り。

透もくすくすと笑うと、優しい手つきで俺を撫でてきた。
こちらは、どこからどう見ても白馬の王子なみの優美さだ。


「じゃあ一緒に食堂に行こうか」

「もちろん!腹へって死にそうだから!」


部屋の空気が元に戻ったこと、透が笑顔になったこと、ようやく食べ物にありつけること。

重なった嬉しさに、俺は満面の笑みで立ち上がった。

目指すは食堂、狙うは日替わりA定食!



スキップに近い足取りで扉に行く。
振り返ると、会長は片手をあげた。

「また来いよ」

「・・・ん。ココアくれるんなら。」


なんだか少し気恥ずかしくて、はにかんだ俺は部屋を出た。

なんだろう、恥ずかしがる要素なんて皆無なんだけどさ。
あの雰囲気というか、会長の眼差しが、どうにも温かすぎた。



「じゃあ、行こう」

後ろから出てきた透が、さりげなくふわっと俺の手をとる。
爽やかな笑顔と、自然で洗練された仕草。

なんていうか、うん。

今まさに、本物の紳士のエスコート受けてます。





食堂への道すがら、ふと頭に浮かんだひとつのこと。

触れずに降ろされた会長の手は、何を求めていたのか。


透の第一声と共に離れたそれは、どこかひどくせつなかった。



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