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「久しぶり、更夜」
ふわりと俺に笑いかける姿は、優雅で華がある。
優しい、いつも通りの透だ。
だけど、やっぱりかなり不機嫌だ。
俺から会長へと移した時には、その瞳は凍てつくような怒気を含んでいた。
その切り替えの速さはもちろん、冷酷な覇気のある姿に驚いた。
やっぱり透も、人の上に立つ人材だな。
「それで、何してたの」
睥睨するように会長と対峙し、透が尋ねる。
しかもさりげなく俺と会長の間に割って入った。
「さあな」
対する会長は肩を竦めて、あっさりと言い放った。
その一言で、さらに空気が凍てついた気がする。
透の雰囲気が、どんどん怖くなっていってる。
・・・空気読めよ、会長!
静かな静かな、だけど重苦しい沈黙が部屋を支配する。
ひしひしと満ちていくのは、透からの殺気にも似た怒気。
「あ―、」
我慢できない。
ってか、もともと我慢なんてする奴じゃねぇ。
場の空気なんて総無視だけど、仕方ないだろ。
これって、人間の大事な欲求。
「腹へった・・・」
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