嗚呼、素晴らしき | ナノ
∴その糾弾の先


嗚呼、どこまで真っ直ぐな人なんだろう。

明るく元気な陽も、天然な陽も、そこには存在しなかった。

「本当は、楽しくないだろ。」

真摯で、一途で、凛としている瞳。

「自分達の世界を閉ざして、なんにも興味なんて無いんだろ。」

すっと伸びた背筋、綺麗な顎のライン、明確に響く言葉。

「そうやってさ、自分を偽って周りを騙してさ、」

静かな静かな、沈黙しかない空間で、陽の声だけが空気を切り裂く。

「楽しいわけない。辛くないわけない。自分に言い聞かせてるだけだ。・・・寂しいよな。」

ふっと陽の目元が緩む。
それは、愛情があふれているともとれる柔らかな表情。


「・・・不思議な、子。」
「そ、だね。」

呆然とした双子は、そう呟く。
思わず互いの手を握り締めた双子は、縋りあって、必死に倒れないようにしてるんだ。


嗚呼、なんて真っ直ぐな人だろう。

王道編入生がなんたるかを、今、身をもって実感した。

相手の闇を探り当て、真っ直ぐに光を当てる。
的を得た言葉はまさにその通り、人の心の奥底も嘘も簡単に暴いてしまうんだ。


・・・なんて、残酷な人。

鋭く抉られる、無理やり光を与えられる、なんて無情な。
そんなこと望んでないのに、光をあてたって闇は消えるわけ無いのに、痛みはただ痛みを増して疼くだけなのに。

勝手に、おまえの考えだけで、俺のことも知らないくせに。

歪んでいることの何が悪いの、この世界では何が正しいの、正しくなくてはいけないの、闇はわるいの、俺は、俺は否定されなきゃいけないの、なんでなんでなんで。

そんな憐れみを持たないで、触らないで、攻撃しないで、手を差し伸べないで、歪みを治さないで、そんな。


そんな温い愛情なんて、いらないんだ。



嗚呼、陽はやっぱり真っ直ぐな人だ。

光の側の人間、眩しすぎる光はただの害で、強すぎる光は闇を濃くするのにね。


やっぱり、王道編入生は萌えの面では素晴らしいけれど。
俺には絶対に、俺を守るためにも、受け入れられない。



[prev] | [next]

back
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -