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同じように驚いて、顔を見合わせた吾妻双子は、またしても同じタイミングで口を開いた。
「あららあ―。」
「噂の編入生まで―。」
翔と渉が交互に流れるようにスムーズに言った後、またしても美しい二重奏を響かせる。
「ねぇ、ど―ゆ―関係?」
こてんと首をそれぞれ逆に傾ける。
角度まで同じ、美しいシンメトリー。
ここまでくると素晴らしいという感嘆を通り越して恐ろしくなってくるよ。
この人たち、もしかしてエスパーなのかな。
強烈な双子には、さすがの陽も驚いたみたいだ。
先ほどの勢いも消え、ぽかんとしている。
まあ、分からなくもない。
だけど、王道編入生なんだからさっさと行動してよね。
ちょっとじれったく思いながら、第一声を期待した俺。
そんな俺を含む周りの視線の中、陽はぽつりと小さく呟いた。
「ふ、双子ってすげー…。」
…馬鹿じゃなかろうか。
静まり返った空気の中で、思わず冷めた目で陽を見てしまった。
だけど不可抗力だよねぇ。
確かにすごいけど、そんな心の底から感動しなくても。
「…仲良いって本当なんだね―。」
「すごいね―。」
その空気の中で相槌をうった双子は、案外空気の読める優しい方々だと思う。
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