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違和感の理由はすぐに明らかになった。
その問いは、俺に向けたものじゃなかったんだ。
「まあまあ、かな」
前の金髪さんと同じような高さ、響きの声が真後ろから聞こえた。
さして驚かず、ゆっくり振り向く。
「…おやまぁ、」
いや、さすがに驚いてしまった。
予想外の、まさかの事態だ。
肩までの銀髪、それは緩く横で結ばれている。
耳元と唇のピアス、アクセ、制服の着方。
そして、青い瞳。
金髪さんと何から何までお揃いの銀髪さんは、顔かたちまで同じだった。
つまりあれだね、美形双子だよ。
「はじめまして」
にっこりと、笑顔までそっくりに彼は笑った。
それにひとつ頷いて、俺の脳内はフル回転を始める。
だって、美形で若干チャラ男で双子なんて!
見た目は髪色で区別しやすく分かれているが、顔や声の本質的部分はそっくりだ。
これは、良い攻めだ…!
もし髪色や何もかもを同じにすれば、誰も俺たちを見分けてくれない。
そんな闇を抱える双子を見分け、光を与える王道編入生!
もれなく三つ巴、「王道編入生は俺たちの」フラグだよねぇ!
ふふ、嬉しいなあ。
生徒会に双子が居なくて、少し寂しかったんだよ。
絶妙なタイミング、素晴らしいよ、この学園。
「ねぇ、何を考えてるの?」
ゆったりと歩き、横に並んだ2人は身長まで同じだ。
一卵性双子でも、ここまで同じなのはすごいね。
彼らの素晴らしき二重奏に身悶えしつつ、表面上はにこりと笑ってみせる。
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