嗚呼、素晴らしき | ナノ
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金色の髪は肩までの長さがあり、緩く横で結ばれている。
耳元と唇のピアス、首や腕のアクセ、制服の崩し具合、そしてカラーコンタクトなのか赤い瞳。

ややビジュアル系、ロック系だねぇ。
だが、身長はそこそこあるし、何より顔が良いから似合う。

チャラ男とひとくくりに言えないが、とにかく新たな舞台の役者になりうる美形だ。


「案外、鋭いな―」

楽しそうな笑顔で、軽く口笛を吹かれる。
飄々と、掴みどころがない。

しかし、案外だなんてほめ言葉としては微妙だよねぇ。
今まで接点もない人に、なんで鈍感だと予測されなきゃいけないんだ。

少し不服ながらも、表面は変化させずに相手を見つめる。


「はじめまして、かな」

とんっ、と軽く立ち止まって、その人はまた笑った。

…嗚呼、風みたいだ。
なんの根拠もないが、それはむしろ確信に近かった。


「はじめまして、でしょうねぇ」

こちらも同じような軽さを返す。
にこやかに見つめ合う。

別になんということもない。
相手を互いに観察し、出方を計算しているだけだ。


飄々として抜けているチャラ男を演じているのが分かるのはきっと、俺も同じだから。

「ね―、楽しい?」

唐突に口を開いた相手、そしてその問いに違和を感じた。




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