嗚呼、素晴らしき | ナノ
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かくかくしかじか、そして俺は今、スタート地点にいる。
いよいよ始まるわけだ、鬼ごっこが。

開始まであと5分、各々はやや緊張した面もちだ。
逃げる側同士だからか、周りの人が応援の言葉をくれる。

そんな少し静かな中、いきなり陽の大きく弾んだ声が響いた。

「暁良!拓巳!」

周りの驚愕や嫌悪の視線など気にも止めず、陽は手を振りながら2人に駆け寄った。
まるで幼い子供のように無邪気に、親しげにはしゃいで話しかける。

にこやかに応対する副会長、不敵に笑う会長。

周りの非難の声も含めて、素晴らしい萌え光景だと思う。
よく2人を見つけ出したな、と陽を誉めてやりたい。


「…大河、行かなくていいの?」

俺の隣を見上げられば、静かに首を横に振られた。

あれれ、おかしいな。
ここは愛しの編入生を生徒会に奪われぬよう、守りに行く場面だろうに。

腑に落ちず、理由を尋ねる。
ちらりと俺を見やった大河は、また違う方向を見ながら呟いた。

「行く必要ねぇし、…京、がいるし。」

あれれ。

「千島じゃなくて京なんだ。」

少し意地悪く問えば、うっせぇと睨んできた。

まぁ、いいか。
嫌な気はしない。


「おい、」




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