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のんびりと俺が向かったのは、第一体育館だ。
そこでは、今も熱くバスケの試合が行われている。
いいよねぇ、バスケとか激しい試合って。
光る汗だとか、嬉しそうなハイタッチとか、真剣なその姿って、まさに青春じゃないか。
たまに抱き合ったり、肩に手を回したり、本当に良いよ。
普段と試合中のギャップ萌えも良いし、部内恋愛も素晴らしいよねぇ。
あぁ、どこかの部活をリサーチでもして萌えを探そうかなぁ・・・。
「京ッ!」
横からいきなり響いた声に、顔を向ける。
そこには、もう見なれた涼太が満面の笑みで立っていた。
「応援きてくれてありがとな!今のところ、俺ら全勝!」
常からの爽やかさが増し、またかなり上機嫌な涼太はにこにことそう報告する。
その姿に、黄色い歓声があがっているのは無視しておこう。
「へぇ、すごいねぇ。」
お世辞でもなく、素直にそう思った。
この分だと、全学年合同での1年ながらも上位に入りそうだ。
涼太の後ろからやってきたクラスメートが目に入り、彼らににっこりと笑いかけた。
「御疲れ様。」
俺にしては珍しい、心からの賛辞。
青春を謳歌し、精一杯に頑張る彼らは、いくら俺が歪んでいても素晴らしいと思える。
相手方は照れたのか、顔を赤くして少しうろたえていた。
周りではまたまた大歓声が響いている。
「き、京も頑張れよ!」
一足早く立ち直った涼太に続き、他のメンバーも応援と感謝の言葉を俺にくれた。
他の奴等にもよろしく頼む、という涼太の言葉にしっかり頷くと、ホールへの帰路に着く。
なんだかんだ言って、結局俺は今のクラスが好きだと感じるんだ。
やはり己が一番可愛いけれども、すっかりなじんだあのクラスは心地よい。
応援に行き、応援された俺。
この瞬間には既に、俺の中でゲーム開始のピストルは鳴っていた。
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