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部屋におりた沈黙と共に、ぼんやりとしながら陽を待つ。
それにしても山並くんはこれまた派手な外見だ。
短く立たせた銀髪、耳や指に光るシルバーのロックなアクセ、おまけに美形だけど目つきは悪く強面だ。
身長も高いし、さぞや目立って喧嘩を売られてきただろうねぇ。
「…おい。」
低く声を発したものの、その目線は下がったままだ。
どう考えても俺に話しかけているのだろうけど。
人に話しかけるなら、せめて顔くらい見せるべきだよねぇ。
心の中で頷きつつ、視線を山並くんに合わせて続きを促す。
また少しの間を置いた彼は、呟くようにぽつりと言った。
「俺が怖くねぇのか、」
は、と思わず呆気にとられた。
いきなり何を言うんだ、この不良は。
ついうっかり、皮がはがれかけたじゃないか。
言い終わるとこっちを見てきた瞳に、頭が冷静に動き出した。
もしかして、一匹狼の不良はすごく不器用で孤独な寂しがり屋さんなのかな。
…しまった、しくじった。
「…おぉ、怖い。」
一拍遅れてわざとらしく呟くと、途端に鋭く睨まれた。
隣の真澄がその視線に肩を震わせば、また山並くんの眉間にしわが増えた。
やっぱり修復不可能だよねぇ。
失敗しちゃったな。嗚呼、めんどくさい。
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