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「ほらほら、行くよ。」
だからといって迎えに行かないのもなんだから、渋る真澄を引っぱる。
ここで不良×平凡で、山並くん×真澄フラグが立てばいいなぁだなんて、少ししか思ってないとも。
少しって言うのは、まぁ・・・、50%くらいかな。
同じ階であるし、あっさりと着いた俺は、間髪いれずにインターホンを押す。
こんなところでぐずぐずしてたって、何も面白くないからね。
防音もしっかりしてあるから、中の人の声は聞こえない。
だから扉が唐突に開いて、少し心臓に悪い。
「あ、おはよっ!早く入れって!」
・・・ああ、どうしようか。
案の定、真澄は隣で固まってしまっている。
まさか、このタイミングで来るとは俺も予想していなかった。
とりあえず、可哀想だから突っ込んであげるとしようか。
「陽、だよね?どうしたの、その姿。」
目の前に居た、銀色のサラサラの髪に碧眼の美少年は、目を見開いて固まった。
「・・・えっと、まぁうん、その・・・」
俺たちを中に招きいれ、ソファに座らせた陽は、困ったように頭をかいた。
ぐだぐだな説明で、訳あって変装をしていること、実は中学時代に族をしていたことを告げられる。
王道の説明に、俺はただただ静かに感動していた。
真澄はといえば、陽のとなりに座る山並くんにびくびくしながらも、陽の話にはしっかり驚いていた。
「ふぅん。」
陽の話が終わり、広がった微妙な沈黙のなかで、俺はひとつ相槌をうつ。
その場の人の視線を集めつつ、薄く微笑んだ。
「変装はともかくとして、早く支度しなよ。」
俺たちは誰にも話さないから、と続けると感動したらしい陽は大きく頷いていた。
しっかし、まぁ。
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