嗚呼、素晴らしき | ナノ
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「も、萌え・・・!」
「なびかない千島様、最高!」
「抱かれたぁい!」
「抱きてぇぇ!」


あれまぁ、幻聴かな。
・・・いや、ぜひとも幻聴であって欲しい。


少しだけ耳に入ってきた言葉の端々に、思わず鳥肌が立った。

聞き間違いでなければ、彼らは俺に対する非難は口にしていなかった。
変わりに、俺を恋愛や崇拝および性的対象として見るかのような言葉を口々に言っていた。


・・・冗談じゃない。

断固拒否する。


俺はもちろん、男同士のいちゃつきは嫌いではない。
立派な腐男子で、むしろ自らそれを見るために腐心する毎日だ。

だがそれは、第三者的立場から見るということでのみだ。


俺自身に関わるとなると、それは全くの別の話。
同性同士だなんて、障壁も多いし、リスクも高い。
そこまで危険を冒して自分も踏み込みたいと思えない。

俺はあくまで傍観者でありたい。
俺自身は安全地帯でのんびりと眺めていたいんだ。


・・・しかも、聞き間違いでなければ。
両方の立場の人から、声が聞こえたような。

いや、まず言いたいのは何で俺にまで言ってくるのかだけれどね。

男なら誰でもいいのか、ルックス重視じゃなかったっけ。
家柄は庶民の出、生徒会や風紀委員の目立つ役員もしていない。


なぞが多い学園だねぇ。
心労が一気に増えたよ。


これは、聞かなかったことで無視する方向で行こう。




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