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休憩時間だからか、やはり廊下は騒がしくなっている。
Aクラスに行って真澄を呼び出すと、真澄は首をかしげながら入り口近くまで来てくれた。
かくかくしかじか、と説明すると真澄はさらりと返答した。
「・・・遠慮しとく。」
「何ゆえ!?」
いきなりバッサリと切り捨てられてしまったよ!
ここは「わぁ、面白そう」って乗り気になるところだよねぇ。
どういうことかな、これは!
「面倒事でしょ。それに京はもっと自分の行動に自覚を持とうね。」
あれまあ・・・
なんか大人びたクールなお返事だねぇ。
この子は大人しい若干チキンな平凡受けのはず・・・
とすると、これは幻覚かな。
「よし、やっぱり素晴らしいよね。真澄も変更だ。」
「え、今の聞いてた!?」
「最近耳が遠くてねぇ・・」
「ちょ、ふざけてないでっ!」
ちょっと焦る真澄を見て、ようやく安堵する。
うん、やっぱり真澄は平凡受けちゃんだ。
ぱちんとひとつ綺麗なウインクを送って、微笑む。
「大丈夫、今なら間に合うよ。」
間に合わなくて良いんだって!、とか真澄は叫んでいたが、無視。
理由はもちろん、認めたくないから。
俺は真澄も一緒に鬼ごっこがいいんだから、手を回してでも鬼ごっこにする。
本人が嫌がっていようが、もう決まった事項だろうが、実は関係ないんだ。
だって俺は一緒がいいんだもの。
やっぱり俺は、自分が一番可愛いんだろうね。
・・・うん、性格が悪いなんてことは当の昔に自覚しているよ。
「理不尽な奴だなぁ・・・。」
後ろでぼやく陽に向かって、微笑む。
口を噤むよう暗に言い聞かせる笑みで、誤魔化すように呟く。
「それでもこれは俺の愛の形なんだよ。」
それは、歪んだ俺の、紛れも無い本心だ。
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