嗚呼、素晴らしき | ナノ
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次々とクラスメイトが普通のスポーツを希望していく。
確かに、男子高校生が鬼ごっことは恥ずかしいのかもしれない。なにより話を聞く限り結構ハードな競技だ。

つまり、鬼ごっこは人気が薄い。
これは第一関門突破だねぇ。

「委員長、俺と陽は鬼ごっこでよろしく頼むよ。」

隣で熟睡している陽の頭を撫でながら、そう言って微笑む。
撫で心地は悪いけれど、気にしないことにしよう。

その瞬間、教室に痛いほどの沈黙が下りた。

そしてすぐに、教室がざわめきに包まれる。
そんなに鬼ごっこ希望者は稀有な存在なのかねぇ。


「マジかよ!?」
「くっそ、よりによって鬼ごっこか・・・!」
「委員長、僕を鬼ごっこに変更して!」
「抜け駆けすんな、俺もだ!」
「僕も撫でられたいよぅ・・・」
「あのオタク、許さねぇ・・!」

教室を駆け巡る声は、どういうことだろう。
もしかして、皆はやっぱり陽と同じ競技が良かったのかねぇ。

いやいや、まだ陽はクラスを掌握していないはずだ。
・・・まだ、の話だけれど。


「えっと・・・、鬼ごっこがいいの?」

そろそろと確認してきた委員長に、にっこりと笑いかける。

「おねがい」

とびきり甘く、滅多にない演技ぶりで頼む。
だって、愛想が良い方が、お願い事は通じるからね。


「・・・っ!」

委員長は顔を赤くして勢いよく頷いた。
ほおらね!
みんなもお願いする時は愛想良くすると良いよ!

「・・・京、反則じゃね?」

目をそらしつつ、涼太がぼそりと俺を批判してくる。

なにが反則かは知らないし、知らなくて良いが。
だって、俺のルールには反していないからね。

しかし、疑問がひとつ。
勢いよく、ガタガタっと立ち上がった子たちはどうしたのかねぇ。



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